エンジニアの「脳疲労」と向き合うために、VS Code拡張機能を作った話

1. 「なんか今日、コードが書けない」

エンジニアなら誰でも経験がある感覚だと思います。

昨日まであんなにスラスラ書けていたのに、今日は何をやっても手が止まる。変数名が思い浮かばない。バグの原因がまったく見えない。「自分は向いていないのか」と落ち込みそうになる、あの感覚。

でも実際は、向き不向きの問題ではなく、脳が疲れているだけのことがほとんどです。

私がBrainSync Focus Timerを作ったのは、この「見えない脳疲労」を少しでも見えるようにしたかったからです。


2. 気づいたのは、ある週末の午後

きっかけは些細なことでした。

午後から作業を始めたのに、3時間後も同じ関数を書き直していた。コーヒーを3杯飲んで、音楽を変えて、姿勢を直して。でも何も変わらなかった。

ふと「今日、何時間作業したっけ」と振り返ったら、午前中も含めると8時間以上、ほとんど休憩なしで画面を見ていた。

休憩を取らなかったのではありません。休憩が必要だということに気づかなかったのです。

コーディングという作業は、身体的な疲労サインが出にくい。腰が痛くなる前に、脳が限界を超えてしまう。気づいたときには、すでに「思考がまわらない状態」になっている。

「これを仕組みで解決できないか」と考えたとき、ポモドーロ・テクニックのことを思い出しました。


3. ポモドーロは知っていた。でも続かなかった

ポモドーロ・テクニック——25分集中して5分休憩するあのメソッド——は、以前から知っていました。スマホのアプリも試したし、ブラウザ拡張も使ってみた。

でも続きませんでした。理由は単純で、コーディング中にエディタを離れるのが面倒だったからです。

ターミナルで作業しているとき、問題を解いているとき、流れに乗っているとき。そのタイミングでスマホを手に取ったり、別ウィンドウに切り替えたりすること自体が、集中の妨げになっていた。

「VSCodeのステータスバーにタイマーがあれば、ずっと視野に入るのに」

そう思ったのが、開発を始めたきっかけでした。


4. 作るなら「脳疲労の見える化」までやりたかった

単純なポモドーロタイマーなら、すでにMarketplaceにあります。差別化するなら、BrainSyncのコンセプトである脳疲労の推定を組み込みたかった。

ただ、脳疲労を正確に測定するにはEEGや血流センサーが必要で、VS Code拡張でできることではない。

そこで考えたのが、「作業パターンから疲労を推定する」というアプローチです。

今日のセッション数、今週の累計、何日連続で作業しているか、どれだけ途中で中断しているか、休憩をスキップしていないか——これらを0〜45点のスコアとして算出します。

もちろん、これは簡易推定にすぎません。でも「今日は21点か、少し疲れてきたな」と気づくきっかけになれば十分だと思っています。正確な診断が必要な方は、連携しているBrainSync脳疲労診断ページを使っていただけます。


5. 実際に使ってみて、変わったこと

開発しながら自分でも使い続けて、いくつか変化がありました。

5-1. 休憩のハードルが下がった

ステータスバーの残り時間が「0:00」になる瞬間が、休憩の合図になった。「あと少し」という先延ばしが減りました。

5-2. 自分の作業ペースが把握できるようになった

統計画面を開くと、「今週は何セット完了したか」「今日の集中時間は何時間か」が一目でわかる。週の前半に無理をして後半に失速するパターンに、数字として気づけるようになりました。

5-3. 「コードが書けない日」の正体がわかった

脳疲労スコアが高い日は、だいたい前日に長時間作業していた。「才能の問題ではなく、蓄積疲労の問題」と自分に言い聞かせられるのは、地味に心が楽になります。


6. CursorやVS Code互換エディタでも動きます

BrainSync Focus TimerはVS Code APIをベースに作っているため、CursorなどのVS Code互換エディタでもそのまま動作します。

AIコーディングツールを使ってスピードが上がった分、集中時間も伸びがちです。そういう環境でこそ、意識的な休憩管理が大切だと感じています。


7. インストールは1分

VS CodeまたはCursorの拡張機能マーケットプレイスで「BrainSync」と検索するだけです。

# コマンドラインからインストールする場合
code --install-extension donut-service.brainsync-focus-timer

設定のカスタマイズも細かくできます。デフォルトは30分作業+5分休憩ですが、自分のリズムに合わせて15〜60分の範囲で調整可能です。


8. 最後に

エンジニアの生産性を語るとき、ツールの話や技術の話はよく出てきます。でも「脳の状態」の話はあまり出てこない。

道具と同じように、脳にもメンテナンスが必要です。 BrainSync Focus Timerが、その小さなリマインダーになれたら嬉しいです。

BrainSync Focus Timer — エンジニアの脳疲労を科学するポモドーロタイマー VS Code Marketplace | Open VSX | GitHub | donut-service.com